キムチを売る女

夏休みを迎えた大学。静まり返ったキャンパス。中年にさしかかった教授スヨンは部屋に舞い込んできた蝶に目をとめる。蝶に誘われるように教室へ向かい授業を始めるスヨン。生徒たちに「初恋の話をして」とせがまれ、かつて自分が経験した不思議な体験を語り出す。

20年前、スヨンはまだ貧しい大学生。ドイツ文学を専攻する内気な生徒だった。ある日、構内で自由奔放な女子学生ピッピと偶然言葉を交わす。恋愛経験の浅いスヨンは、人懐っこく内に何かを秘めたようなピッピに魅かれ、淡い恋心を抱く。しかし、彼女は学生運動の最中、スヨンの目の前で投身自殺を遂げてしまう。悲しみに打ちひしがれるスヨン。ピッピの死後、彼のまわりには不思議な出来事が起こり始める。

かねてより希望していた家庭教師のアルバイトについたスヨン。だが教え子のスジは、女子高生らしからぬ大人びた雰囲気を持つ、無口で孤独な少女だった。スジの住む屋敷も人の気配が希薄で奇妙な雰囲気が漂っている。だが少女のただならぬオーラと美しさに、スヨンはいつの間にか魅了されていた。自分の生きている現実が夢なのか本物なのかさえわからなくなっていくスヨン。
そんなある日、政府の空襲警報が鳴り響く。死を間近に感じるスヨンとスジ。
2人は、自分たちに秘められた絆があることをまだ知らなかった。

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