キムチを売る女

故郷から遠く離れ、樹木も育たない不毛の土地。

朝鮮族のチェ・スンヒは、線路沿いの粗末な家で息子チャンホと暮らしている。夫が犯罪に手を染め、母子2人でこの地に来たものの、スンヒはいつも故郷へ帰る日を夢見ていた。

三輪車を引きながらキムチの露天商で生計を立てる毎日。全ての出来事に無関心を装い、日々真面目に過ごしていくスンヒだったが、商売を介して何人かの男と交流を深めていく。

お互いに朝鮮族同士という間柄で心を許し合うようになった自動車工場の技術者キムもその一人。だが、彼は結婚しており、密会中の2人のもとに妻が押しかけてくる。妻の前でスンヒを娼婦だと偽り保身を計るキム。彼女は売春容疑で留置所に連行されるが、警察には以前から顔見知りのワン警官がいた。

彼の助けを得ようとかすかな希望を抱いたスンヒだったが、ワン警官は彼女を逃がす代わりに肉体関係を強要してきた。スンヒを搾取の対象としか見ない男達。絶望的な状況の中、スンヒは息子と故郷へ帰ろうと思いはじめていた。

だが、運命はまたも過酷な仕打ちで彼女の夢を打ち砕く。スンヒは、世の中への憎悪を募らせ、悲愴な決意のもとある行動に出る。絶望の淵に立たされた彼女に希望の光は差し込むのか。

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