キムチを売る女

アート・フィルムの最先端に立つ孤高のシネアスト、チャン・リュル本邦初登場!

未だ知られざる孤高のシネアスト、チャン・リュルの最新作が遂に日本上陸!長編デビュー2作目にしてカンヌをはじめ世界各地の映画祭で実に15もの賞を受賞した『キムチを売る女』。

本作の登場は、ツァイ・ミンリャン、キム・ギドク、北野武、ジャ・ジャンクーといった東アジア出身のアート系監督達の伝統を引き継ぐ全く新しい映画作家の誕生を予感させるものです。

在中3世の朝鮮族出身者で、現代の中国文学を代表する作家としても有名なチャン・リュルは、映画製作のキャリアを積まずに初めて監督した短編「11歳」が、ベネチア国際映画祭に招聘され、その特異な映像表現が映画人を震撼させその名を広く世界に轟かせました。

生きた光が呼吸しているような画面の質感、絵画的な空間構成、抑制された演出技法に裏打ちされた彼の作品は、映画でしか語れないものを最もシンプルな映像で表現するというアート・フィルムの本来あるべき姿を私達に提示しています。

絶対的な孤独、絶望的な状況。それでも母と息子は一生懸命生き抜いた。

中国北部の片田舎、キムチの露天商で生活を営んでいる母と息子。暗い過去を引きずりながらも平凡な毎日をつましく暮らしている朝鮮族親子の日常を透明感のある詩情豊かな映像で描いた『キムチを売る女』。

これは、絶望的な状況・絶対的な孤独のなかで人はどのようにして己の魂を解放させるかを描いた傑作です。

チャン・リュルは韓国と中国2つの国にルーツを持ちながら、どちらにも属しえない朝鮮族を物語の主人公に据える事で、ボーダーレスな社会におけるアイデンティティーのゆらぎを見事に映像化。

クライマックスで悲劇的な暴挙にうってでる若く美しい主婦が、映画のラストで見せる姿は、絶望の淵における個の力強さをスクリーンに刻みつけた名場面として長く記憶にとどめられることでしょう。

朝鮮族とは?
中国籍韓国人を朝鮮族といいます。彼らのほとんどは「祖国」は中国と考えており、在中韓国人とは区別されています。現在中国には約200万人の朝鮮族がいますが、その多くが吉林省の延辺朝鮮族自治州を中心に中国の東北地方に住んでいます。

KAFSトップ 2007 lineup キムチを売る女 不機嫌な男たち 許されざるもの 映画館の恋