キムチを売る女

チャン・リュル Zhang LU    監督・脚本

1962年、在中3世として生まれる。中国吉林省の延辺大学中文学科を卒業後、同学科の教授として着任。一般的な朝鮮族としては社会的に安定した職場に就いたものの、天安門事件によって教授職を解雇され、小説家に転身を図る。1986年ガム・ミョンテというペンネームで中篇『A CRYING LOCUS AFTERNOON』を発表。1988年には長編『SYNOPSIS』が中国新潮流小説集に、1995年には短編『WORK』が20世紀中国実験芸術シリーズに選定されるなど文学の世界で脚光を浴びる。

映画監督になるきっかけは、友人の監督と酒の席で“映画なんて誰でも作れる”と大口をたたいたのが始まりと言われている。映画製作に関する勉強を一切受けたことがないにも関わらず、短編『11歳』で監督デビュー。初めて製作した作品が、ベネチア国際映画祭短編部門のコンペにノミネートされ、全世界の映画人から注目を浴びる。

『キムチを売る女』はチャンの長編2作目にあたるが、前作『唐詩』でも彼は朝鮮族の生活を描いている。現在企画中の2作品『ヒヤツガル』ではモンゴルと中国の国境地域に住む朝鮮族母子を、『豆満江』では脱北少年と朝鮮族少年の友情を描くなど、彼の作品はどれもアウトサイダー的な異邦人としての朝鮮族を主人公に独創的な映像空間を構築しているものばかりである。尚、新作『ヒヤツガル』に登場する母子の名前も本作『キムチを売る女』と同様にスンヒとチャンホになる予定。

filmography
2001年 11歳(短編)
2004年 唐詩
2005年 キムチを売る女
準備中 ヒヤツガル
準備中 豆満江


キャスト

リュ・ヒョンヒ(キムチ売りの女チェ・スンヒ)

夫が犯罪者となった為、息子と共に故郷を後にし、キムチの露天商で生計を立てている。貧しい生活ながらつつましく暮らし、一人息子チャンホの存在を生きる糧にしている女主人公。

韓国人、中国人等数多くの俳優からオーディションによって選ばれたリュ・ヒョンヒは2003年中国延辺大学芸術学院を卒業。現在同大学の舞踊学科で教授職を務めている。
映画出演は『キムチを売る女』が初めてだが、リアルな演技で絶賛を浴びた。

キム・パク(一人息子チャンホ)

母親から朝鮮語の勉強を無理強いされる息子。母親に駆除したねずみの処理を頼まれ、代わりにテレビを買ってくれとちゃっかりせがむ少年。子供の純粋さといたずら好きな行動で周囲の空気を和ませるが、悲劇的な事件に巻き込まれ
母スンヒを変貌させる決定的な機会を提供する。

6歳の時から子役として舞台・テレビで演技をみがいてきたキム・パクは本作『キムチを売る女』が映画初出演。撮影現場でも生来の明るい性格でムードメーカーの役割を果たしていた。中国の中央演劇大学付設少年演技クラスで3年間勉強後、現在は小学校に通っている。

ジュ・グァンヒョン(自動車工場の技術者キム)

年上の女と結婚しているキムは、同じ朝鮮族出身という親近感からチェ・スンヒと知り合い関係を結ぶ。だがある時、密会の現場を妻に押さえられ、スンヒを娼婦と偽り保身を図る。

ジュ・グァンヒョンは元々メイクアップアーティスト。演技経験はなく本作『キムチを売る女』がデビュー作である。

ワン・トンフィ(ワン警官)

チェ・スンヒのキムチを定期的に買いに来る常連客。スンヒに好意を持ち、不法に露天商を営む彼女にライセンス発行の手助けを申し出るが、警察官としての地位を利用して彼女を窮地に陥れる。

2002年北京電影学院卒業。数十本の映画出演で優れた演技力を披露している中国のスター俳優。ハンサムな外見で多くの女性ファンを持つ彼だが、本作では内向的な演技で深い印象を残している。

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