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処女の泉

16世紀のスウェーデン。豪農テーレの屋敷。召使のインゲリは、朝の支度の手を止め、異教の神オーディンに祈りを捧げていた。家の中ではテーレと、敬虔なキリスト教徒の妻が朝の祈りを捧げている。寝坊して朝食に遅れた一人娘のカーリンは、父親のいいつけで教会に寄進するロウソクを届けに行くことになる。母親の心配をよそに、一張羅の晴れ着をまとって上機嫌のカーリン。美しく世間知らずの彼女を妬むインゲリは、お弁当のサンドイッチにヒキガエルを挟み、ささやかな復讐を試みる。

両親と召使たちに見送られ、馬に乗って出発したカーリンとインゲリは、美しい湖畔や野原を越えていく。小川の流れる小屋にさしかかった時、インゲリは急に言い知れぬ不安を覚え、教会へ行かないようにと頼みこむ。笑って聞き流したカーリンは、インゲリを小屋に残し、ひとりで先を進んでいく。インゲリは、オーディンの神を信奉するという小屋の主人に心を見透かされ、恐れて逃げ出す。
森の奥深く進んでいくカーリンの姿を、三人の浮浪者が見つめてい

た。疑いを知らない彼女を言葉巧みに誘い、一緒に昼食をとるが、連れていたヤギが盗んだものであることを見抜かれ、カーリンを強姦して殺してしまう。少年の浮浪者は、目の前の光景を恐ろしげに見つめていた。後から追ってきたインゲリは、その一部始終を目撃するが、憎いカーリンが犯される愉快さと恐怖を同時に味わい、止めに入ることができない。

夜になり、娘の帰りを待つテーレの屋敷に、そうとは知らない浮浪者たちが現れ、一夜の宿を乞う。中に招き入れ温かい夕食を供するが、少年は目撃した罪の恐怖で震えが止まらず、食べ物がのどを通らない。夜中、様子を見に行ったテーレの妻は、浮浪者たちにカーリンの晴れ着を売りつけられる。事情を察した彼女は、寝ていたテーレに娘の服を見せる。テーレが刀を持って外に出ると、階段の下にインゲリが震えていた。事情を聞いたテーレは、シラカバの木を倒し、その枝を切って沐浴する。身を清めたテーレは、刀を手に浮浪者が寝ている部屋に向かう。テーレの妻は、夫が入った部屋に鍵をかけた。

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