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レビュー

私とマクダルの衝撃の出会い

BONNIE PINK [ボニー ピンク] (ミュージシャン/マクダル後援会長)

私とマクダルの衝撃の出会いは2004年の暮れ。東京国際映画祭<アジアの風>部門に招待されてやってきた「マクダル パイナップルパン王子」を、私が無類の豚好きだと知る兄に誘われて見に行った時でした。ほのぼの可愛いブタ映画を想像して行ったらかなり勝手が違い、あまりのスピーディーで奇想天外な展開に冒頭から頭がクラクラしてしまいました。豚と言えば世界中の童話や映画に数々の名作がありますが、香港発の豚ストーリーはと言うと、そこはカンフーや広東語の影響か、とってもテンポが良くて息つく暇の無いコメディー仕立て。

でもそのユーモアはリアルでビター、どちらかと言うとキッズ向きではない感じ。そして笑いの連続の合間には、ハッとするほどエキゾチックで混沌とした香港の街並みが飛び込んで来たり、子供の目線で見た世界の雄大さが描かれていたり、はたまたマクダルとそのママ、ミセス・マクの母子家庭の深い絆が静かに表現されていたりして、もう病んだ大人の心をわしづかみです。

サウンドトラックがまた名曲揃いで涙を誘うんですよね。広東語がわからない私の胸にも沁みるこの驚き。もう一度見たさ・聴きたさに、オリジナル(英語字幕版)のDVDをネットで探してお買い上げしてしまったほど。

もしもこのぽよんとしていて頼りなさ気な子ブタ、“マクダル”の事が気になった人は、騙されたと思って劇場に足を運んで下さい。帰り道には、あなたの心にきっとマクダルの笑顔が宿っているはず!