映画館の恋

ホン・サンス HONG Sang-soo   製作・監督・脚本

1961年10月25日ソウル生まれ。韓国中央大学で映画制作を学んだ後、アメリカへ留学。85年カリフォルニア芸術工科大学で美術学号、89年シカゴ芸術学院で美術修士号を取得する。留学中に観たロベール・ブレッソンの『田舎司祭の日記』に感銘を受け“物語性のある映画”を撮ろうと思いたつ。その後フランスに数ヶ月滞在し、シネマテーク・フランセーズで映画鑑賞に明け暮れる。

韓国に戻り、96年に最初の長編作品『豚が井戸に落ちた日』を発表。批評家達の絶賛を浴び、海外の映画祭でも注目を集める。同作はバンクーバー国際映画祭でドラゴン&タイガー賞を、ロッテルダム国際映画祭でグランプリを受賞。続く第2作『江原道の力』はカンヌ国際映画祭でワールド・プレミア上映され、これら2本の作品でホン・サンスは“アジアで最も注目すべき監督”としての名声を確立した。

04年フランスとの共同製作で『女は男の未来だ』を発表。カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、“韓国のゴダール”“エリック・ロメールの従弟”などと形容されヨーロッパで絶賛される。本作『映画館の恋』も前作と同様フランスとの共同製作だが、ホン・サンスが自作の映画作りを効率良く経済的に進める為、自身で設立した映画会社チョンウォン社の創立作品ともなっている。

04年、05年と2年連続でカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に監督作が出品されたホン・サンスは、名実ともに韓国を代表する映画作家であり、ホ・ジノ、キム・ギドクといった監督達からもリスペクトされる存在となっている。

filmography
1996年 豚が井戸に落ちた日
1998年 江原道の力
2000年 オー!スジョン
2002年 気まぐれな唇
2004年 女は男の未来だ
2005年 映画館の恋
2006年 浜辺の女


キャスト

キム・サンギョン(キム・ドンス役)

10年近く作品デビューを夢見ている監督志望の男。
30代にも関わらず少年のような清々しい純粋さを持っているドンスは、時として不思議な言動や変わった行動で周囲を驚かす。にも関わらず友人たちには嫌われていない人物。

1971年ソウル生まれ。中央大学演劇科卒業後、友人の紹介で参加したオーディションに合格し、1998年TVドラマ「Advocate」でデビュー。2002年映画「気まぐれな唇」の演技で注目を浴びる。以降「殺人の追憶」(2003)や「私の男のロマンス」(2004)等、活躍の場を映画界に移し、183cmの長身で理知的な雰囲気を醸し出す俳優として順調にキャリアを積んでいる。ホン・サンス監督作品への出演は、「気まぐれな唇」以来。本作の捉えどころがなく浮き草のようなドンス役は、役者として今までで一番難しかったと語っているが、監督からは見事な人物造型で素晴らしい演技を披露してくれたと絶賛されている。

主なfilmography
気まぐれな唇(2002)
殺人の追憶(2003)
映画館の恋(2005)

オム・ジウォン(19歳の少女チェ・ヨンシル/女優チェ・ヨンシル役)

サンウォンが中学時代に付き合っていた初恋の女性。今は学校を辞め、眼鏡屋でアルバイトをしている。大学入試を控えているのに、日本にも行ってみたいと語る夢多き19歳の娘。寂しそうな表情を時折見せる少女だが、偶然再会したサンウォンと何日間を過ごす。

主人公ドンスの先輩が監督した映画でデビューし、演技力と大衆的な親しみやすさで人気の女優チェ・ヨンシル。周囲の視線も気にせずチョンノの街を1人で歩き回る奔放な性格の女性。初対面の男ドンスからいきなり愛の告白をされ、その日一日を彼と過ごす。

主なfilmography
オーバー・ザ・レインボー(2002)
トンケの蒼い空(2003)
スカーレット・レター(2004)
映画館の恋(2005)
美しき野獣(2006)

イ・ギウ(チョン・サンウォン役)

大学入試を終えたばかりの19歳の高校生。
内気で物静かな性格だが、心に熱く秘めたものを持っている少年。幼さを残しながらも、背伸びをしたがる様が時に挑発的にみえる。映画を通して主人公ドンスに大きな影響を与える。

主なfilmography
ラブストーリー(2003)
まわし蹴り(2004)
Sad movie〈サッド・ムービー〉(2005)
映画館の恋(2005)
愛を逃がす(2006)

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