映画館の恋

映画の中に自分を見つける奇跡的な瞬間を描いたホン・サンスの最高傑作!

古くは『ニュー・シネマ・パラダイス』(ジュゼッペ・トルナトーレ監督)、『カイロの紫のバラ』(ウディ・アレン監督)、『ラスト・ショー』(ピーター・ボグダノビッチ監督)、最近では『楽日』(ツァイ・ミンリャン監督)等映画館や映画そのものを主題にした作品は枚挙にいとまがない。なぜなら“映画館”や“映画”は作家主義を指向する監督にとって最も魅力的な素材だからである。韓国を代表するアート系作家としてキム・ギドクやホ・ジノからもリスペクトされるホン・サンス監督の最新公開作『映画館の恋』も“劇場”と“観客”と“映画”の親密な共犯関係を叙情的に描いた傑作である。

誰でも一度は映画を観終わった後、何分間か何日間その作品の影響下で過ごした経験があるはず。幸福な気分に包まれる事もあれば、ゆううつな気持ちになる事も…。時には自分でも驚くような行動をとることさえ。

『映画館の恋』は、映画と現実のストーリーが微妙にシンクロしながら進行する斬新さを持った、凡百の“韓流”ロマンスの対極に位置する純愛物語である。

映画館という名の迷宮を舞台にした、映画を巡る純愛物語

劇場を後にして街に出る。その時今観た映画に出演していた女優に偶然出会ったら?映画ファンなら誰もが夢見る魅惑的な状況設定で、監督志望の主人公ドンスと映画女優ヨンシルの不思議な日々をつづった『映画館の恋』。ヒロインの1人2役、トリッキーな2部構成、さらに映画の中で上映されるもう1本の映画の存在等、大胆な演出を駆使して映画というメディアが放つ魅力を実験精神あふれる作品に仕立てた『映画館の恋』は、ホン・サンス監督による究極の“恋愛的映画論”とも呼べるものです。

『殺人の追憶』のキム・サンギョン、『Sad movie〈サッド・ムービー〉』のイ・ギウら韓国の若手演技派とアートフィルム界の巨匠が贈る“映画愛”に是非酔いしれて下さい。

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