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香港発100%香港製造大ヒットアニメーション映画『マクダル』とは?

混沌の時代における愛と希望を描いた、ちょっと教育的な要素を含んだ、ブライアン・ツェー(物語)とアリス・マク(絵)原作による絵本『マクマグ成年人童話』がオリジナル。最初はできの良い子ブタ、マクマグを主人公に始まったお話だったが、母子家庭のかなりボーッとしたいとこの子ブタ、マクダルの登場とともに人気が急上昇した。さまざまなバリエーションでシリーズ化された絵本は、現在160タイトルを超える。

そのテレビアニメ化『春田花花幼稚園 マクダルとマクマグ』シリーズ(総監督トー・ユエン、製作/脚本ブライアン・ツェー、美術アリス・マク)が香港のお茶の間で放送されるや、子供たちはもちろん、大人たちをも巻き込む社会現象を巻き起こした。ほのぼのとしたタッチとリアルさとシュールさとナンセンスなギャグが絶妙なバランスで入り混じった独特の世界観が受けるとともに、主人公のマクダルは、マクドナルドや携帯電話、銀行や赤十字のイメージキャラクターになるなど、今や国民的なアイドルになり、キャラクターグッズは香港のいたるところに並んでいる。

テレビシリーズを元に、トー、ブライアン、アリス他同じチームで作られた映画版第1作『My Life as Mcdull マクダルの話(仮題)』('01)は、香港では宮崎駿『千と千尋の神隠し』と同日にロードショー公開され、宮崎アニメをしのぐ大ヒットを記録した。その後各国の映画祭に招待され、いくつものアニメーション映画賞を受賞した本作は、ついにアニメーション映画のカンヌ映画祭と呼ばれるアヌシー国際アニメーション映画祭の長編部門でグランプリを獲得(その年の短編部門のグランプリが日本の山村浩二『頭山』)。香港の子ブタは、見る見るうちに世界の子ブタとして頂点に立ってしまった。

『My Life as Mcdull マクダルの話』の大成功を受け、やはり同じチームで初めて絵本の原作の無いオリジナルストーリーを映像化したのが『マクダル パイナップルパン王子』である。今まで語られる事の無かった、マクダルの父(つまりミセス・マクの夫)=パイナップルパン王子の話を大胆な構成で描いたこの映画は、「ウォン・カーウァイ映画より難解でありながら、チャウ・シンチー映画より爆笑させる」と大人の観客たちを驚嘆させた。そして2005年1月、並み居る強敵を押しのけ、香港映画史上アニメーションとして初めて、香港三大映画賞のひとつ《香港電影評論学会大賞》でグランプリを受賞するという快挙を達成してしまったのだ。香港映画史に画期的な1ページが刻まれた瞬間だった。