キ許されざるもの

ユン・ジョンビン(ホ・ジフン役)   監督・脚本・プロデューサー

何事も一度では理解できず、組織の中において必要とされる周囲に対する気配りが出来ない男。のろまで典型的ないじめられキャラ。よい古参兵を目指すスンヨンのお蔭でのびのびと軍隊生活を送っていたが、やがて変わり始めるスンヨンの姿に戸惑いを覚える。

1979年プサン生まれ。中央大学映画学科に学ぶ学生だったユン・ジョンビンは、本作『許されざるもの』を卒業作品として制作し、監督・脚本・プロデューサー・俳優として韓国映画界に華々しいデビューを飾った。在学中に監督した短編「男性の証明」で2003年ミジャンセン短編映画祭“喜劇の王”賞受賞。
デビュー作がプサン国際映画祭で4冠受賞という一大快挙を成遂げ、現在韓国の映画界で最も熱い注目を浴びている映画作家・俳優である。次回作は社会的な上下関係で変化していく友情をテーマに構想中。


監督ユン・ジョンビンの言葉

『許されざるもの』は暴力の加害者であり、被害者でもある男たちの物語です。

韓国の成人男性のほとんどは、兵役義務による26ヶ月の軍隊生活を送らなければなりません。彼らは軍隊という厳しい階級制度をもつ組織の中で、ある時は加害者、ある時は被害者として暴力的な怒りや罪の意識を感じながら日々を過ごしていきます。
ところが、「私」も含めて多くの男たちは除隊後、これらの記憶を忘れようとするか、あるいは今の自分にとって都合の良い様に事実を曲げて記憶してしまうのです。
私はこの映画を作ることによって、私たち全てが忘れてしまい、隠したがる兵役時の記憶を蘇らせたかった。
あの時、正しかったのは誰で、正しくなかったのは誰だったのか?そもそも軍隊における衝突の原因を一個人に帰結させてよいものなのだろうか?私が傷つけたり、傷つけられたりしたのも明確な故意によるものではなかったはずである。
軍隊で自分に直接暴力を加えた個人ではなく、暴力的な状況を作ってしまう組織や社会制度といったものに対する怒り。私が『許されざるもの』で表現したかったのはこの“怒り”の感情である。


キャスト

ハ・ジョンウ(ユ・テジョン役)

命令と服従という絶対的なルールを持つ軍隊において、適度な妥協精神で何でも楽にやり過していく古参兵。中学時代の同級生で自意識の強いスンヨンを新兵に迎え、組織としての軍隊と個人の友情との間で葛藤する。
除隊後は、平凡な生活に戻り、ありふれた青春を謳歌する典型的な韓国の若者。

1978年生まれのハ・ジョンウはTVドラマ「プラハの恋人」で注目を浴びる。中央大学演劇学科在学中より「カルメン」、「オセロ」といった古典劇の舞台に立ち、俳優としての演技力を磨き、映画界には2002年の「マドレーヌ」でデビュー。「スーパースター カム・サヨン」(2004) 「オトリ捜査」(2004)と着実にキャリアを積み上げている。本作『許されざるもの』で2005年韓国映画評論家協会 新人男優賞を受賞。最新作はキム・ギドク監督の「絶対の愛」、韓米合作の「NEVER FOREVER」。韓国のポータルサイトでの俳優部門検索第1位になるなど、現在最も注目されている若手のホープである。

ソ・ジョンウォン(イ・スンヨン役)

不条理な暴力を容認し、非合理な規律を強要する軍隊の権力構造に疑問を抱き、非適応者のレッテルを貼られる新兵スンヨン。
中学時代の同級生テジョンが上官として軍に在籍していた時は何とかやって行けたが、彼の除隊後、自ら妥協の道を選ぶしかなくなる。

監督ユン・ジョンビンがオーディションで選んだソ・ジョンウォンは、現在中央大学演劇映画科に在籍中の学生。
大きくてくりっとした目が印象的な彼は軍隊という組織になかなか馴染めない新兵スンヨン役を演じ評判になった。
繊細で鋭敏な演技力を持つ若手実力派新人として韓国映画界の期待を集めている。

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