東出昌大
心は晴れないのに、空は憎らしいほど青かった–。
豪雨災害後の瀬戸内海の島を舞台に傷ついた心の癒しと再生を描いたヒューマンドラマ
陽光あふれる瀬戸内海の小さな島。数年前の豪雨災害で妻子を失って以来、自ら孤立している漁師の憲二は、疎遠の父に会うために来島した凛子に出会う。凛子もまた、夢だった教師の仕事で挫折を味わい、進むべき道を見失っていた。最初は互いに心を閉ざしていた二人だが、あたたかくてお節介な島の人々に見守られ、少しずつ打ち解けていくのだが……。
甚大な自然災害によって、あるいは人間関係の小さな綻びによってもたらされる喪失を抱えながら、私たちはどのように生きていくのか? 悲しい出来事が起きたその場所で暮らし続けるとはどういうことなのか? 豪雨災害からの復興が進む瀬戸内海の島を舞台に、恋人でも家族でもない一組の男女のぎこちなくもやさしい交流を通して、傷ついた心の癒しと再生を描く。