立ち去った女、ラヴ・ディアス、フィリピン、The Woman Who Left

ワンシーン、ワンカットの魔術的映像美。

光と闇、善と悪、罪と赦し。人間の本質を炙り出す、美しき復讐のドラマ

本作は、『ショーシャンクの空に』の原点ともなった文豪レフ・トルストイの短編小説「God Sees the Truth But Waits」に着想を得た人間ドラマ。1997年、香港返還による経済の弱体化、治安の悪化に揺らぐフィリピン。30年の歲月を刑務所で静かに暮らしてきた元小学校教師のホラシアは、親友の衝撃的な告白により、無実が証明されて釈放となる。ホラシアが犯人とされた殺人事件の黒幕は、彼女のかつての恋人ロドリゴだった。家族を失い、人生を壊されたホラシアは、自分を陥れた男を追って復讐の旅に出る。そして彼女の前に現れる、貧しいバロット(アヒルの卵)売りの男、浮浪者の女、心と身体に傷を抱える謎の「女」―。ラヴ・ディアス作品の特徴である、美しくも徹底的な長回しとロングショットで、光と闇、善と悪を行き来する人間の本質をゆっくりと炙り出す。